[ミニコラム] 今月の名言(2011.08版)

 

「居場所に来るのも大変なんですよ!」


久々に居場所に顔を出してくれた本人さんがボヤいた言葉です。


外に出る、居場所で過ごすって、「普通の人」からすると、

当たり前で何も大変なことはないって思いますよね。

しかし本人にしてみれば、「外に出る」という行為の一つ一つが大変な作業だったりします。

  • 時間を決めて起床する
  • いろんな人を想定しながら身なりを整える
  • 駅でキップを(迷いながら考えながら)買う
  • 人の目を気にしながら、降車駅を確認しながら電車で過ごす
  • 駅を降りて迷子にならないように歩く
  • 居場所で見知らぬ人と時を過ごす、等々。

これら全て、本人にとっては何一つ当たり前のことではありません。

「外に出る」という言葉ひとつで表現される行為なのかもしれませんが、

実はとても大変な作業の集まりなのです。

おまけに人によっては、この一連の行動を前夜にシミュレーションしたりもします。

(だから眠れませんし、当日は行動の前にすでにクタクタです)


 実は「外に出る、居場所で過ごす」って、場合によってはとても大変なことなんです。

「当たり前」の時間や行為から外れてしまった、

そして関わりの場からはぐれてしまった人にとって、

「居場所をもつ」「当たり前の時間をもつ」という“日常”は、

実のところ全くの非日常の努力を必要とするのかもしれません。

みなさんいかがでしょうか。


(ニュースレター『ARUマガジン』8月号より)